展示・イベント

京の浮世

概要
作家・主催者 【京都芸術大学 芸術学部 キャラクターデザイン学科 グラフィックデザインゼミ】井上歩奏/大西莉子/合田桜/小林佑輔/米田創太/下原優里/新家小茉希/田畠早苗/豊田結衣/西川真由/古舘孝介/宮本彩花
期間 2025年8月19日(火)~9月2日(火)
時間 9:30-18:00(最終日15:00まで)

レポート

昔の芸術が現代の技術で表現されたらどうなるでしょう?
今回の展示は、京都芸術大学でグラフィックデザインを学ぶ学生さん達が、古典美術をテーマに作品を制作されました。
この企画は元々、海外のお客様が多く訪れる六本木の蔦屋書店とのコラボレーションが始まり。
日本文化に興味を持つ外国人のお客様向けに、学生たちが作品を商品として販売するプロジェクトでした。
しかし商品化に出来たのは、一部のゼミ生だけ。
そこで今回はゼミ生全員が参加し、初めてゴールドトナーという特殊な印刷技術を使って歴史ある作品を元に、
学生のフレッシュで柔軟な感性を加えて蘇った作品を展示いただきました。

■グラフィックゼミとは
グラフィックデザインゼミとは多岐にわたる分野からエンターテインメントを追求するキャラクターデザイン学科に属し、グラフィックデザインを研究領域とするゼミです。
主にキャラクターを用いたデザインに取り組み「キャラクターをより魅力的に見せられるデザインとは何か」を追求し、実践的な制作を通して、新たな挑戦や研究を続けています。

■ゴールドトナーについて
「特殊印刷」というデザインに高級感・立体感・特別感を加えるために使われる印刷技術の中で、
金や銀のインクやトナーと呼ばれる粉を使用して印刷したものを「ゴールドトナー印刷」い言う。
これは作品に上品さをプラスし、金箔のような高級感と華やかさを加える事ができます。

作品に使われている「ゴールドトナー」は、絵の具を混ぜ合わせるCMYKという通常の印刷技術とは全く違う特別なインクです。
学生さんたちは今回初めてこの特殊印刷に挑戦し、ただ派手に見せるのではなく、ギラギラしすぎず、落ち着いた色合いの金色を、昔の絵とどう組み合わせるか。
古典美術の雰囲気を壊さずに、現代的な魅力を加える為の色の配置や見せ方が、デザインにおいて一番重要なポイントだったそうです。

もう一つ、大きな挑戦は元の絵をどこで切り取るか。
作品は、元の絵の一部を切り取ってデザインされてあり、トリミングの仕方ひとつで作品の印象は大きく変わること。
例えば、虎の絵ではあえて左側に余白を広く作り、夜空にして月を入れることで、虎がその先に何かを見つめているような物語を想像させる工夫が加えられています。
元々は猫だけの絵ですが、その眼先にネズミを加えてみたり。

 

特殊な印刷技術と、見る人の想像力を掻き立てるトリミングを駆使して、
現代的なエッセンスを取り入れたことで、作品通して古典美術に新しい魅力を発表されました。