展示・イベント

室礼展-Offerings-IV 立礼煎茶席

概要
作家・主催者 和田浩美、土井宏友、稲澤隆生、賀幡季与、山本哲也
期間 4月15日、22日、29日。 5月5日、6日。
時間 ①13:00~14:30 ②16:00~17:30
備考 室礼展イベント 煎茶会

レポート

室礼展の期間中は、5回にわたり煎茶席のイベントを行っています。
亭主は会ごとに変わり、室礼展に出展頂いている作家様たちが務めて下さいます。
色んな流派があるので、作法にちょっとした違いも見られます。
何といっても面白いのが、陶芸や漆の作家様は急須や茶碗、水を入れる水注、茶葉を入れる茶入れ、お菓子のお皿など、ご自身が制作されたオリジナルの茶器でお点前されるので、毎回違った煎茶道具が拝見できるのも見所です。

一回目の亭主は、バリに在住されている和田浩美様です。
今年は日本とインドネシアの国交60年。バリ工芸を手掛けられ、沢山のお道具をご持参下さいました。
お点前の最後には「聖水」を作られる場面も。バリの聖水作りは闇が明け始める太陽が昇る頃、摘んだ4色の花(青赤白黄)を水に浮かべ、自然のエッセンスを水に溶かす。自然を愛で、風空土の持つ力を身体に取り入れる(飲む)ことで大自然と繋がり、調和と健康を願うそうです。
そういったことが煎茶に通じるものがあると、今回「聖水作り」をお披露目して下さいました。器に入れる花の方角も決まっているそうで、北に青、南に赤、東に白、西に黄色と配置され、皆さま興味深くご覧になられていました。

  


二回目の亭主は、漆芸家の土井宏友様です。
お席のテーマは四大文明の「川」
煎茶を淹れる水は亀岡 出雲大神宮の湧き水を汲んでこられました。
漆を塗るだけでなく木彫りから手掛けられるので、土井様の手によって生まれた道具がたくさん並びます。
朝もやから生まれた一滴の雫は「瀬」から「淵」となり「川」から「海」へ。そして蒸気が天に昇り雲へと還る「水」の様が、テーブル装飾全体で表されていました。

水のしぶきを漆で表現された菓子皿と建水。花瓶を置く台の模様には、波紋が描かれています。茶則の形は氷の様。手前盆は舟形、いかだを表した長方形の茶托。朝もや・蒸気を連想させる茶碗の柄など、土井様のこだわりが詰まっています。
瓦方(飛鳥時代と平安時代のもの)を二段に重ねた線香台の上には、亀もいます。
 水辺の岩で甲羅干しをする亀と、香筒には水滴の装飾。
手掛けられた作品について、直接作家様からお話を聞きながらお茶を味わい、そして笑い声も聞こえたりと、とても和やかな雰囲気でした。
型にはまらず、作りたい形で道具を作れる楽しさがあると、土井様は仰せでした。

        


三回目の亭主は、煎茶のお道具を専門に作られる、煎茶工芸の稲澤隆生です。
茶碗、茶入れ、水柱、湯瓶、涼炉などとご自身の作品の他、他作家様のお気に入りの道具も揃えておられました。
四種類の茶葉をご用意され、茶葉ごとに変える色んな形の湯瓶があるのだと知ります。
私も後で稲澤様が入れて下さった煎茶を頂きました。
茶碗に注がれる煎茶はほんの数滴ですが、その一滴にお茶本来の味が引き出されるので、四種の味の違いをはっきりと舌で感じる事ができました。改めて茶葉の魅力と、それを知る方法、煎茶道の魅力を感じました。

  


椅子に座って頂いてテーブルで行う「立礼式」は、お家に遊びに行って会話とお茶を楽しむ感覚に似ているとも思います。亭主と客との距離も近く、お道具も間近で見る事ができますよ。
期間中は残り二回行われます。
各会満席ですが、煎茶会の様子はご自由に見学頂けますので、宜しければお気軽にお越し下さいませ。

【室礼展 煎茶席】①13:00~14:30 ②16:00~17:30
4/5 (日)和田浩美(アートコーディネータ)
4/22(日)土井宏友(漆芸家)
4/29(日)稲澤隆生(煎茶工芸)
5/5 (土)賀幡季与(挿華)
5/6 (日)山本哲也(陶芸家)