展示・イベント

河井工房三代展 ー武一・透・亮輝ー

概要
作家・主催者 陶芸家:河井武一、河井透、河井亮輝
企画:河井工房三代展実行委員会
期間 2023年7月21日(金)~7月30日(日)
時間 9:00~18:00 ※最終日17:00迄
備考 ◆本展に関するお問い合わせ先
 staff.kawaikobo@gmail.com

◆作家紹介
・河井武一
 明治11年 島根県安来に生まれる
 昭和2年  京都河井寛次郎の下にて、陶磁器制作業
 昭和17年 一年来北支窪場にえ勉強
 昭和24年 国画会会員
 昭和28年 独立自作に専念
 昭和34年 東京・大阪高島屋にて個展(以後毎年継続)
 昭和39年 シドニー・メルボルン・ニュージーランド・ウエリントンにて個展
 昭和53年 高島屋の厚き配慮に依り作陶50年展を東京・岡山・横浜にて開催

・河井透
 昭和16年 陶工河井武一の長男として生まれる
 昭和37年 父のもとにて作陶生活に入る
       併せて大叔父寛次郎に薫陶を得る
 昭和52年 広島福屋にて父子展(以後個展継続)
 平成13年 JR名古屋高島屋にて個展

・河井亮輝
 昭和50年 祖父 河井武一、父 透の長男として生まれる
 平成7年  京都府立陶工高等技術専門校、陶磁器成型科卒業
 平成8年  同校 陶磁器研究科卒業
 平成12年 父 河井透に師事

◆会期中イベント
 7月22日(土)、23日(日)
 展示会場2階、お茶室にてお茶会を開催します。
 ※洋服の方は白ソックスの持参をお願いいたします。

◇亭主 鈴木宗那

◇時間 (一席最大8名/20分前受付開始)
 ①10時〜 ②11時〜 ③14時〜 ④15時〜

◇参加費
 3,000円 ( 武一作陶のお菓子皿付き)

◇予約はこちらの予約フォームからお願いいたします。
https://forms.gle/nUMNnBancCgHnRxe6

レポート

大正から昭和にかけて活躍した陶芸家 河井寛次郎の京焼民窯を受け継ぐ、河井工房三代の展示が2年ぶりにThe Terminal KYOTOで開かれました。

■亀岡に南丹窯を築く初代 武一さん。
叔父にあたる河井寛次郎の下で約40年修行されました。

■武一さんの長男、徹さん。
父・武一さんと、大叔父である河井寛次郎さんに師事。
「ものづくりは修経者である」「世の中の人に使ってもらえる作品を作ること」「楽な仕事はない。不平不満は言わず、仕事の中から喜びを見つける事」
この教えを守りつつ、独自の造形を現在も亀岡の登り窯で作陶中。

■徹さんの長男、亮輝さん。
河井家が育み、高めてきた技法を三代目 亮輝さんが受け継ぎ、現代の民藝作家として精力的に作陶を続けられています。


器を手にとるお客様。
どれにしようか、目移りするほど沢山の器が並びます。

 

厚みがあるお皿やカップ、花器たち。
作品はシャープな印象ではなく、丸みがあるシルエットと、温かみのある色柄。
手に取ると不思議とほっこりとした安心感を与え、思わず家庭的な和食を連想させます。

今回お持ち頂いた亮輝さんの作品は、青色の作品が多いイメージですが。
(亮輝さん)
今回持ってきたのが、たまたま青が多かっただけで。
でも元々河井家は、呉須(ごす)の青色が一番メジャーな色で、河井家といえば青。
呉須と辰砂釉(しんしゃゆう)、青と赤ピンクなんです。

やっぱり代々、受け継がれてきた秘伝のノートがあられるんですよね?
ありますよ。調合する秘伝のノート。
でも、昔の原料と今の原料は名前一緒でも成分が違うからね。
同じ名前でも50年前と今とでは全然違うんでその辺が難しいんです。

こちらは、練上げ(ねりあげ)で作られたもの。

(亮輝さん)
模様は釉薬ではなくて、土の色です。
三色の土を使っているので、どこを切っても金太郎飴のように同じ土の色が出てくるんです。
難しいですよ。
土と土をひっつけてるので、ひび割れてロスも多いんですよ。
土の色によって収縮が微妙に違いますしね。濃い色のところはよく縮むし、薄い所はあまり縮まないので、その間がひび割れたりしちゃうんです。

展示期間中には裏千家 鈴木宗那先生を亭主に迎え、二階の茶室でお茶会が開かれました。
道具や茶碗は、河井工房が用意されたものばかり。
武一さん作による70年前に作られた凄く古い物から、最近に作られた物まで。
床の間には、版画氏の長谷川富三郎さんのお軸がかけられていました。
河井寛次郎さんをとても師事して棟方志功に弟子入りをされ、河井寛次郎、柳壮一と一緒に民芸運動をされた方です。

1日4席設けられた茶会には全席、三代目の亮輝さんがご挨拶をされました。
二階からお客様たちの笑い声が一階に聞こえてくる、鈴木宗那先生のお人柄らしい堅苦しくない和やかな茶会となりました。
ご参加頂いた方には、武一さん作陶のお菓子皿をお持ち帰り頂ける嬉しいサプライズも。


民藝というのは民衆的工芸の略。
民衆の中で工芸作品として生まれ、量産的であった物でもその中に美しさが見出され、美術的評価が全然されていなかった物に、河井寛次郎さん達が「凄くこれらは美しいもの」だと提唱し、価値を与えた民芸運動。
河井工房といえば、ぬくもりと実用性の京焼民藝。
アジア・西洋など世界各国には、沢山の様々な民藝があるように、河井さんが焼かれている京焼民藝が、世界に幅広く伝わっていく事を願っています。