展示・イベント

ニュイ・ブランシュ/Villa Kujoyama in The Terminal KYOTO

概要
作家・主催者 【彫刻】山崎康【音響】パブロ・サラン
■ 2019年度ヴィラ九条山レジデント
【ダンス】バンジャマン・ベルトラン【造形】ユーゴ・カプロン/ミモザ・エシャール【料理】リュズ・モレノ&アナイス・シルヴェストロ【香水】ダニエル・ペシオ【ジュエリー】マリオン・ドラリュ 【写真】イザベル・ルミン【デザイン】サミー・リオ【ブックデザイン】ローレル・パーカー&ポール・シャマール【工芸】マルティーヌ・レイ
■ 2015年度ヴィラ九条山レジデント
【金属】ミリン・グエン
期間 2019年10月4日(金)~10月14日(月)
時間 9:00~18:00(10/5のみ9:00~22:00)
備考 彫刻・音響・ダンス・造形・料理・香水・写真・デザイン・ブックデザイン・金属・工芸



レポート

この時期、京都市とアンスティチュ・フランセ関西が、毎年秋に主催する「ニュイ・ブランシュKYOTO」が市内各所で開催されています。
姉妹都市パリでは、毎年10月5日に一夜限りの現代アート祭典「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」が行われるので、5日は市内各所の会場で白夜祭が開催されていました。
この日 町家では、料理デザイナー2人が町家のキッチンに立ち、小豆島まで行って見つけたオリーブを元にした料理を披露。
自らが抽出したオリーブオイルや、オリーブ茶葉のドリンク。南瓜などで使った一口サイズの料理は、オリーブの実に見立てて演出をされていました。
防空壕では、ダンサーによるパフォーマンス。約10分のダンスは各回、列を作り定員枠を満たしていました。
そしてフランス大使の方々も町家に1時間ほど滞在され、作家達と交流を深めていらっしゃいました。


日本文化と「対話」したヴィラ九条山のレジデント13名による展示は、
日本で学ばれた事、滞在した事で発想を得た事をヒントに、制作された作品もご覧頂けます。

■イザベル・ルミン(写真家)/土間・1階縁側
イザベル・ルミンは、写真をパネルにして単に平面として見せるのではなく、視点を変え面白く演出。
ガラス戸に貼った、1962年 京都市美術館で催されたアメリカ人芸術家のジェームズ・リー・バイヤーズ展の資料写真。
イザベルは今年、その資料写真と同じ場所で写真を撮り、それを垂れ幕の様にして土間に飾っています。
背景が同じ2枚の写真。座布団に座って見て頂く事でガラス戸を通し、時は違いますが重なり合う時間と空間をご覧頂けます。
また、縁側には「下駄」を置き、実際に履いて庭を眺める視点経験のユーモアを取り入れています。


■サミー・リオ(デザイナー)/入口の間
「竹」に着目し、3ヶ月間滞在して制作されました。
それは竹細工で見られるカゴやオブジェではなく、竹が道具としてどう生かせるか。
手段の可能性を証明した実験型作品です。
ガラスの型として竹を用い、ガラス工芸へ。
それにより竹の丸みや、ナチュラルな柄がガラス作品に表れています。
焼けた竹と共に、その過程をご覧頂けます。


■ダニエル・ペシオ(調香師)/坪庭・坪庭横の間
世界中で約900人の調香師がいるそうで、昔は何処かの企業に属さないと香りを作れなかったのが、
約50年前からはフリーランスで働ける様になり、彼はフリーランスで活躍をされています。

香道=「香りを楽しむ芸道」香木を焚いて香りをたて、その香りを鑑賞

ダニエルは約2年前に香道に出会い、源氏物語の中で、香りを用いたゲーム「香道」に興味を持ち研究されました。
今回作られた香りは、源氏物語をテーマにした香りたちです。
全種類違う香りは、物語にでてくる登場人物や、それぞれの場所・シーンをイメージして作られています。
是非一つ一つ、テーマを想って香りに包まれてみて下さいね。
また、左の台には畳を敷いた井草の香り。右の台には畳に見える、紙の素材。
その違いも楽しん下さい。
香りの素材は、フランスの物と日本の物を用い、フランスで制作しています。


■ユーゴ・カプロン(画家)/床の間
フランスでは一時期、画家が少なくなったそうですが、近年の画家は古典的な技法ではなく、
新たな手法で描く画家が増え、今回ニュイ・ブランシュを通して紹介したかったそうです。
古典的な絵の具だけで描くのではなく、工業製品(例えば自動車を塗るラッカー)や自然物を融合させ、制作されている作家です


■マリオン・ドラリュ(ジュエリーデザイナー)/ライブラリースペース
漆や螺鈿、木材など伝統的な材料を用い、伝統技術を用いて製作されています。
今回6ヶ月滞在し、髪飾りをテーマにした作品。
来日する前にドイツで購入したメノウと、日本の木を東京の工房に持ち込み、こもって石を削り制作されていたそうです(日本の機会が素晴らしかったとの事)
石や木に、硬い部分と柔らかい部分がありますが、素材を切った時に表れる色や模様の偶然を第一優先に生かしたデザイン。
その為、製作途中に折れたり、割れたりを繰り返したそうです。
まだ粗削りな所もあり、11月ニューヨークの展示に向けて、引き続き完成に向けて作成を続けられます。


■ミモザ・エシャール(造形作家)/1階・2階縁側、茶室
自然界からや、大量生産されている色んな物を集め、制作活動をされています。
茶室には、100均に打っている様なツボ押しや、マッサージの道具を組み合わせた2つの作品。
パット見、よく分からないし、これは何だ?となる・・。
伝統的な町家の空間に、それとは関係のないコンテンポラリー展示を試みたい思いで茶室を選んでいます。
人間の臓器。人体模型。組織や生命の流れを想像してみて下さい。あなたは何を思い浮かべますか?
天井からは縄の縛りも、取り入れている。

また、動物でもない、植物でもない粘菌にも興味を示し、自然と環境とのつながりについても追求しているそうです。
紫外線に弱いので、2階縁側の奥に本物の粘菌を置き、私たちは会期中その動きや増え方の変化を日々、観察していますが、確かに変化が見られますね!


■ローレル・パーカ&ポール・シャマール(ブックデザイナー)/2階和室
残暑残る暑い時期に、3ヶ月滞在。
日本では昔から襖や障子といった、生活空間に「紙」が用いられていますが、フランスでは主に
書くための素材だったり、包装紙といった文化になります。
紙のテクニックを知りたい。学びたい。紙の生産地を色々と巡られたそうです。

一本一本、一生懸命に紙を手で巻き、つなぎ合わせた暖簾。紙をクシャクシャと手もみして作った暖簾。
町家の襖絵を見て、それを取り入れた作品の襖。
どうやら、お盆時期で業者が休みの為、自分たちでハンコの様な物を作り、それを押して襖絵にされたそうです。
襖の手をかける「引き手」も真似て、同じ形と、同じ高さに合わせられています。
町を歩けば、外にあるネコ除け。
日本のカルチャーを、それも自分たちで作ったハンコでペットボトルを表現。
障子部分は少し色を染めて、クタッとした年期と、折り線をつけて表現されています。

彼らは町家を下見した事で、今回の作品を作ろうと思って下さいました。
何度も色味とサイズを測りに足を運ばれていました。
手探りの中、地道な手作業とアイデアが各所に見受けられます。


■マルティーヌ・レイ(漆芸家)/2階縁側・1階小上がり
40年前に京都市立芸術大学に留学し、漆を学ばれました。
帰国後、引き続きフランスでも漆の制作活動を続けておられ、材料としてだけじゃなく、漆でどういう事が出来るかを研究。
今回の作品は、空気のような軽いお茶碗。
絹の生地をお椀にし、水を使って生地に漆を流されています。

彼女が造語した「漆流し」

軽やかな素材に、漆を加えた美を見せられたらいいな。
日本的・フランス的要素を含んだ作品になったと思う。と仰せでした。
日中と、日が落ちた時に見せる、それぞれの美しさがございます。

 


■ミリン・グエン(銅系金属)パブロ・サラン(音響)山崎康(彫刻)/天高の間
秘密の木と、その果実。3人のコラボレーション空間になります。
ミリンが作った丸い球体(今回の素材は紙粘土)からは、フランス語や日本語で話す声が、重なり合って各球体から聞こえてきます。
複数人で「秘密」をテーマに会話している内容や、個人の内緒ごとが流れているそうです。
鉦をつく音や、木魚をたたく音も、日本のお寺に行って録音されたものです。


■パンジャマン・ベルトラン(振付師、ダンサー)/防空壕
10月5日の白夜際では、防空壕にて約10分にわたるコンテンポラリーダンスを、何回も披露して下さいました。
映像作品は、そのイベント時のものではありませんが、普段手掛けられている模様をご覧いただけます。


日本の文化、書物をヒントに制作に及んだ作品や、視点を変えた演出と発想力など、
13人が表す作品は写真では伝えきれない魅力が沢山ございます。
会期は14日迄ですので、是非ご覧下さい。